【ネタバレなし】戦争を“数学”で止めようとした男。映画『アルキメデスの大戦』レビュー

🎬 作品概要

タイトル：アルキメデスの大戦（The Great War of Archimedes）
公開年：2019年
監督：山崎貴
主演：菅田将暉
ジャンル：歴史・戦争・ドラマ
制作国：日本
上映時間：130分

『アルキメデスの大戦』は、戦艦「大和」建造をめぐる天才数学者と軍部の攻防を描いた歴史ドラマです。原作は三田紀房氏による同名漫画で、数字と理性を武器に戦う“頭脳戦の戦争映画”として高く評価されています。監督は『永遠の0』『ALWAYS 三丁目の夕日』などで知られる山崎貴氏。VFXを駆使した壮大な映像美と、人間ドラマが融合した知的エンターテインメントに仕上がっています。主演の菅田将暉さんは、若き天才・櫂直（かいただし）を理知的かつ情熱的に演じ、強烈な印象を残しました。

🚢 あらすじ（ネタバレなし）

1930年代の日本。帝国海軍は、世界最大の戦艦「大和」の建造を進めようとしていた。しかし、その計画に若き天才数学者・櫂直は異を唱える。
「この巨大戦艦は、本当に国を救うのか？」
櫂は数学的な思考と論理力を駆使して、建造計画の裏に潜む不正と非合理を暴こうとする。だが、軍部の圧力や政治的思惑が立ちはだかり、彼の理想は容赦なく試されていく。
理性と情熱を併せ持つ男の戦いが、国家の命運を左右する——。

💥 見どころ・魅力ポイント

■ 数学で戦う頭脳戦の迫力
戦争映画でありながら、主人公が“数字”を武器に戦うという斬新な構成が最大の魅力です。櫂直が冷静な分析と鋭いロジックで上層部を論破していく場面は、息を呑む緊張感に包まれています。

■ 櫂直というキャラクターのかっこよさ
理詰めでありながら熱く、正義感を貫く櫂直の姿は圧倒的にかっこいいです。理性と情熱を両立させ、権力や常識に屈しない強さは、まさに“知性で戦う侍”。菅田将暉さんの繊細かつ力強い演技が、その魅力を最大限に引き出しています。彼の一言一言に説得力があり、観る者を惹きつけて離しません。

■ VFXによる圧巻の映像美
冒頭の海戦シーンや戦艦「大和」の建造シーンは圧倒的。山崎監督ならではの映像表現で、当時の時代背景をリアルに再現しています。戦争の壮大さと、そこに潜む人間の愚かさが見事に対比されています。

■ 信念のぶつかり合いが生むドラマ
合理を信じる櫂と、力を信じる海軍上層部。両者の思想がぶつかる会議シーンは、まるで心理戦のような緊迫感です。それぞれの信念が正義であるからこそ、物語に深みと重みが生まれています。

👥 こんな人におすすめ

• 頭脳戦や理系的ロジックの物語が好きな方
• 戦争映画の中でも“人間ドラマ”を重視したい方
• 菅田将暉さんの知的で熱い演技を堪能したい方
• 信念を貫く主人公に共感したい方

🧭 総評

総合評価：⭐️⭐️⭐️⭐️☆（4.2 / 5.0）
ストーリー：★★★★☆
演技：★★★★★
キャラクター：★★★★★
映像・演出：★★★★☆

『アルキメデスの大戦』は、戦争を“理性の視点”から描いた異色の歴史映画です。戦うのは兵器ではなく「真実を追う知性」。櫂直という人物を通して、国家のあり方と人間の信念が鋭く問われます。観終わったあとには、理屈では語れない熱が確かに残るでしょう。
戦争映画の枠を超え、信念と知性の物語として記憶に残る一作です。

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