音楽・ヒューマンドラマ

【ネタバレなし】美食が革命を起こす—映画『デリシュ』レビュー|“レストラン誕生”の感動ドラマ

🎬 作品概要

タイトル:デリシュ(Délicieux)
公開年:2021年
監督:エリック・ベナール
主演:グレゴリー・ガドゥボワ、イザベル・カレ
ジャンル:ヒューマンドラマ/歴史/グルメ
制作国:フランス
上映時間:112分

18世紀末、フランス革命前夜の混沌とした時代。貴族のために働いていた料理人が、誇りと情熱を取り戻し、料理を通して新たな人生を切り開いていく物語です。監督のエリック・ベナールは、食と人間の尊厳をテーマにした繊細な演出で知られ、主演のグレゴリー・ガドゥボワは内に秘めた情熱と葛藤を丁寧に表現しています。美しい田園風景とともに、食が持つ“生きる力”を描いた心温まる作品です。

🍞 あらすじ(ネタバレなし)

時は18世紀フランス。名門貴族の専属料理人マンスロンは、卓越した腕前を持ちながらも、主人の気まぐれな命令で突然職を失う。自信と誇りを失った彼は、息子とともに人里離れた田舎へと移り住む。
ある日、旅の途中で出会った謎めいた女性ルイーズが、彼のもとを訪ねてくる。彼女はマンスロンに再び料理を作るよう促し、「人々を幸せにする料理」を共に追い求めようと提案する。
やがて二人は、庶民でも気軽に食を楽しめる“レストラン”という新しい形を思いつき、試行錯誤の末にその夢を形にしていく。

💥 見どころ・魅力ポイント

「レストラン誕生」の瞬間を描く感動
 当たり前に存在する“レストラン”という文化が、かつては革命的な発想だったことを思い出させてくれます。食が貴族の特権だった時代に、誰もが食事を楽しめる場を作ろうとする主人公の情熱に胸を打たれます。

映像美と料理の演出
 フランス田園の風景が息をのむほど美しく、柔らかな自然光の中で調理される料理の数々が芸術作品のように映し出されます。バターが溶ける音や、パンを割る瞬間の香ばしさまで伝わってくるような、五感を刺激する演出が見事です。

人間ドラマとしての深み
 マンスロンとルイーズの関係は、単なる師弟でも恋愛でもなく、互いを尊重し支え合う“同志”のような絆。料理を通して人間の尊厳と自由を取り戻す姿が、観る者に勇気と希望を与えます。

👥 こんな人におすすめ

• 心温まる人間ドラマを求めている方
• 『シェフ!〜三ツ星レストランの舞台裏へ〜』や『バベットの晩餐会』のような“料理×人間”の物語が好きな方
• 歴史の転換期に生きる人々の強さや誇りを感じたい方
• フランスの美しい映像や食文化に触れたい方

🧭 総評

総合評価:⭐️⭐️⭐️⭐☆(3.6 / 5.0)
ストーリー:★★★★☆
演技:★★★★
キャラクター:★★★☆☆
映像・演出:★★★☆☆

『デリシュ』は、単なるグルメ映画にとどまらず、“食べる”という行為が持つ社会的・精神的な意味を深く掘り下げた作品です。
革命前夜の不安と混乱の中で、料理が人々をつなぎ、新しい時代の幕開けを象徴する存在となっていく——その過程を丁寧に描くことで、観る者に「食の尊さ」と「生きる歓び」を強く感じさせます。
観終わったあとには、誰かと一緒に食事をしたくなる。そんな温もりに満ちた傑作です。

📎 関連記事

  • 『グリーンブック』|実話をもとに、食と音楽を通じて心を通わせる2人の旅を描いた感動作。友情と尊厳の物語が『デリシュ』と響き合います。
  • 『グレイテスト・ショーマン』|夢と信念を貫くエンターテイナーの姿を描くミュージカル。挑戦する勇気が人生を変える、心躍るドラマです。
  • 『ラ・ラ・ランド』|情熱と夢の狭間で揺れる2人の恋物語。芸術に生きる覚悟と切なさが、『デリシュ』の職人魂と重なります。
  • 『セッション』|鬼教官と青年ドラマーの狂気の師弟関係。才能と執念のぶつかり合いが、“本物の情熱”とは何かを問いかけます。
  • 『プレステージ』|二人の天才マジシャンがプライドと執念で競い合う心理サスペンス。職人としての誇りを懸けた戦いが見どころです。
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