投資を続けていると、誰でも一度は「もう無理かもしれない」と感じる暴落に直面します。
評価額が大きく下がり、含み損が膨らむと、
- このまま下がり続けるのではないか
- 自分の判断は間違っていたのではないか
- いま売らないと取り返しがつかないのでは
こうした不安が頭をよぎるのは、ごく自然な反応です。
私自身も、初めて大きな下落を経験したときは、証券口座を開くのが怖くなったことを覚えています。
本記事では、暴落時に「気合」や「根性」に頼るのではなく、仕組みとしてメンタルを保つための考え方と具体策について整理していきます。
暴落が怖くなる理由|人が不安を感じる心理的メカニズム
まず理解しておきたいのは、暴落は例外的な出来事ではなく、必ず起こりうるものだという点です。
投資をしている以上、相場が大きく下落する局面を完全に避けることはできません。
それにもかかわらず、多くの人は心のどこかで「自分が投資している間は起こらないのではないか」と無意識に考えてしまいます。
この認識のズレが、実際に暴落が起きたときの強い不安や動揺につながります。
暴落は特別な失敗の結果ではなく、投資を続けていれば必ず遭遇しうる通過点です。
この事実を常に頭に入れておくだけでも、下落局面での受け止め方は大きく変わります。
人は一般的に、
- 利益よりも損失に強いストレスを感じる
- 評価損を「失敗」と錯覚しやすい
- 不確実な未来を過度に悲観する
といった心理的傾向を持っています。
さらに、下落局面ではニュースやSNSでネガティブな情報が急増します。
それらを見続けることで、不安が増幅され、冷静な判断が難しくなっていきます。
つまり、暴落時にメンタルが揺れるのは環境と人間の性質がそうさせているのであり、特別なことではありません。
本記事では、主に長期・分散を前提とした投資を想定しています。
インデックス投資について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
→ インデックス投資とは?初心者向けにわかりやすく解説
暴落は乗り越えられてきた|世界経済の歴史が示す事実

もう一つ、暴落時のメンタルを支えるうえで大切なのが、過去の事実を知識として持っておくことです。
これまでの世界経済は、誰もが「終わりだ」と感じるような暴落を何度も経験してきました。
- 1929年:世界恐慌 — 株価が大暴落し、世界的な不況が長期化
- 2000年:ITバブル崩壊 — ハイテク株を中心に株価が急落し、NASDAQは長期低迷
- 2008年:リーマン・ショック — 金融システムそのものが揺らぎ、世界同時株安が発生
- 2020年:新型コロナショック — 経済活動が急停止し、歴史的なスピードで株価が急落
いずれの局面でも、その最中には「今回はもう立ち直れない」と言われていました。
しかし結果として、株式市場は数年単位で回復し、その後は過去最高値を更新してきました。
こうした歴史的事実をあらかじめ知っておくことで、
- 暴落は異常事態ではない
- 回復までには時間がかかるが、終わりではない
と冷静に受け止めやすくなります。
暴落時の心構えは、感情ではなく知識によって整えることができるものです。
暴落時にどうする?メンタルを保つための具体的な方法

ここからは、私が実際に意識していること、そして多くの長期投資家が共通して行っている対策を紹介します。
① 評価額を頻繁に見ない
暴落時に最も避けたい行動は、何度も証券口座を開いて評価額を確認することです。
短期的な値動きを見続けても、状況が好転することはほとんどありません。
むしろ、不安を強めるだけです。
- 評価額を見るのは月1回まで
- スマートフォンの通知をオフにする
このように、情報との距離を意識的に取るだけでも、気持ちはかなり落ち着きます。
② 暴落時の行動ルールを事前に決めておく
不安なときほど、人は判断を誤りやすくなります。
そのため、暴落が起きてから考えるのではなく、平常時にルールを決めておくことが重要です。
例えば、
- 暴落時でも売却はしない
- 積立投資は止めない
- 追加投資は現金の範囲内でのみ行う
といったように、あらかじめ行動を固定しておきます。
こうしておくことで、暴落時は「考える」のではなく「決めた通りに動く」だけになります。
また、積立を続けることで、価格が下がった局面では多くの口数を購入できます。
この仕組みについては、ドルコスト平均法として別記事で解説しています。
→ ドルコスト平均法とは?暴落時に強い理由
③ 現金を持つことは最大のメンタル対策
私が特に重要だと感じているのが、十分な現金を持っておくことです。
生活費や緊急時に使える現金が確保されていれば、
- いま売らなくても生活は成り立つ
- どんな相場でも耐えられる
という安心感につながります。
現金はリターンを生みませんが、暴落時には強力な「精神的クッション」として機能します。
投資を長く続けるうえでは、決して軽視できない要素です。
生活防衛資金については、別記事で詳しくまとめています。
→ 生活防衛資金はいくら必要か?目安と考え方はこちら
【重要】投資額は「半分になっても耐えられるか」で決める
暴落と呼ばれる局面では、相場が一時的に50%程度下落することも珍しくありません。
これは、投資している資産の評価額が半分になる可能性があるということを意味します。
この前提に立ったときに重要なのは、
評価額が半分になったとしても、冷静でいられる金額なのか
を自分自身に問いかけることです。
もし資産が半分になったと想像しただけで、
- 眠れなくなる
- 仕事や生活に支障が出そう
- すぐに売却したくなる
と感じるのであれば、その投資額は自分にとって大きすぎる可能性があります。
投資は、限界までリスクを取る競争ではありません。
評価額が大きく下がったとしても、日常生活や判断力に余裕を持てる範囲で行うことが、長く続けるための大切な条件です。
暴落時にやってはいけないNG行動

メンタルを保つためには、「何をするか」だけでなく「何をしないか」も重要です。
- 下落理由を調べ続ける
- SNSで他人の意見を追いかける
- 数日〜数週間先の相場を予想する
不安を解消するどころか、むしろ増幅させがちです。
これらをやってしまうのは、意志が弱いからではありません。
誰でも、大切なお金が揺れているときには同じ行動を取りがちです。
相場の短期的な動きは、誰にも正確に予測できません。
見る情報を減らし、時間軸を長く取ることが、結果的にメンタルを守ることにつながります。
暴落に耐え、投資を続けられる人の共通点
暴落に強い人は、決して「胆力がある人」や「感情が動かない人」ではありません。
共通しているのは、
- 暴落は必ず起こりうるものだと理解している
- 資産が半分になっても耐えられる投資額に抑えている
- 行動ルールと現金によって判断を仕組み化している
といった、感情に頼らず行動できる状態をあらかじめ作っていることです。
暴落時に勝つ人とは、勇敢な人ではありません。
最悪の事態を想定したうえで、それでも続けられる設計をしている人です。
投資で一番難しいのは、暴落時に何か特別なことをすることではなく、
事前に決めた方針を、淡々と守り続けることです。
こうした長期投資を制度面から支えてくれるのが、新NISAです。
制度の概要については、以下の記事で整理しています。
→ 新NISAとは?仕組みと基本を解説
それでも暴落が怖いと感じる人へ
ここまで読んでもなお、暴落が怖いと感じる方もいるかもしれません。
それは、決しておかしなことではありません。
不安を完全になくすことはできませんし、無理に強がる必要もありません。
それでも投資を続けたいのであれば、
- 投資額をもう一段小さくする
- 現金比率を少し厚めにする
- 相場から距離を置く期間を作る
といった調整を行っても問題ありません。
投資は競争ではなく、自分の人生に合わせて続けていくための手段です。
暴落は怖いものですが、あなたが感じる不安はとても自然なものです。
この記事が、少しでも心の支えになれば嬉しいです。
