まとまったお金を投資するとき、「今すべて入れるべきか、それとも何か月かに分けるべきか」と迷う方は多いと思います。

上昇が続けば、早く市場へ資金を置く一括投資が有利になりやすい一方、投資直後に暴落すると、まだ現金を残している分割投資の方が下落を抑えられることがあります。

この記事では、同じ金額を最初に一括投資した場合と、6・12・24・36か月に分けて投資した場合を比較できるシミュレーターを用意しました。コロナショック、ITバブル崩壊、リーマンショック期を参考にした下落シナリオも試せます。

一括・分割比較シミュレーター

投資に回せる総額、分割期間、比較する年数、想定利回りを選んでください。暴落も試したい場合は「暴落シナリオを入れる」にチェックすると、過去のS&P500を参考にした3つの下落例を選べます。

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一括と分割、結果はいくら違う?

入力した数字は保存・送信されません。ブラウザ内だけで計算します。

通常時の想定利回り(年率)
今回の比較結果 暴落なしでは、一括投資が3.4万円上回ります

年率5%が続くと仮定した5年間の初期表示です。

一括投資の最終資産 153.2万円 開始時に総額をすべて投資
12か月分割の最終資産 149.8万円 未投資分の現金も含む総資産
最終的な差額 3.4万円 一括投資が上回る金額
分割1回あたり10万円
暴落底の一括資産
暴落底の分割資産
底で残る待機資金
総資産の推移 分割投資は、投資前の現金も含めています
一括投資(青・実線) 分割投資+待機資金(オレンジ・破線)

※一括投資は開始時に全額、分割投資は各月初に均等額を投資します。通常月は年率から換算した月利で複利運用し、暴落期間は設定した最大下落率へ向けて等比で下落します。回復期間は底値から暴落前の水準へ等比で戻し、その後は通常の想定利回りへ戻る簡易モデルです。待機資金の利息、手数料、税金、為替、配当、実際の値動きは考慮していません。

※過去の暴落と同じ結果を再現するものではありません。日本円で購入する投資信託は、為替やファンドの構成によってS&P500価格指数と異なる値動きになります。

このシミュレーターは「同じ120万円」をどう入れるか比べる

今回比べているのは、毎月の給料から新しいお金を積み立てるケースではありません。最初から120万円を持っていて、その全額を今入れるか、いったん現金で持ちながら分けて入れるかという比較です。

分割投資では、まだ投資していないお金も消えたわけではありません。そのため、シミュレーターでは投資中の評価額と待機資金を合計した総資産を表示しています。

この待機資金を含めず、投資済み部分だけを一括投資と比べると、元手が異なる不公平な比較になってしまいます。

既存記事との違い|今回は数字を動かす体験型

LCMには、一括投資と積立投資について考え方を整理した記事がすでにあります。今回の記事は、それらを置き換えるのではなく、実際に条件を変えて確認するためのツールです。

記事・ツール分かること主な役割
積立投資 vs 一括投資 メリット・デメリット、向いている人 考え方を整理する
まとまったお金は何回に分ける? 3・6・12か月などの決め方 分割期間を考える
今回の比較シミュレーター 上昇相場・暴落時の金額差と推移 自分の数字で体験する

上昇が続く前提では、一括投資が有利になりやすい

投資したお金は、値上がりや複利の影響を受ける可能性があります。一方、分割投資で待機している現金は、投資するまで相場の上昇に参加できません。

そのため、右肩上がりの期間では、早く全額を投資した一括投資が有利になりやすくなります。Vanguardの調査では、世界株式を使った過去の比較で、一括投資が3か月の分割投資を上回った割合は約68%でした。

ただし、この数字は「これから一括投資をすれば68%の確率で勝てる」という予測ではありません。過去の複数期間を同じ条件で比較した結果です。調査の詳しい前提は、Vanguard「Cost averaging: Invest now or temporarily hold your cash?」で確認できます。

暴落直前では、分割投資が下落を和らげることがある

一括投資は開始時から全額が値動きするため、直後に暴落すると、すべての資金が下落の影響を受けます。

分割投資は、投資前の現金が残っています。その現金は下落しないため、総資産の減少を抑えながら、下がった価格で残りの資金を投資できます。

ただし、分割すれば損をしないわけではありません。下落が長く続き、分割投資が完了したあとも下がれば、投資済み資産は同じように減少します。また、暴落を待っている間に相場が上がり続ければ、待機資金が多いほど上昇の恩恵を受けにくくなります。

3つの暴落シナリオは「下落」と「回復」の長さが違う

一括投資と分割投資の比較では、最大下落率だけでなく、そこまで何か月かけて下がり、底から何か月で元の水準へ戻ったかも重要です。分割投資は、下落中も回復中も買い続けるからです。

簡易シナリオ最大下落率下落期間回復期間確認できること
コロナショック型−33.9%約1か月約5か月急落と速い回復
リーマンショック期型−56.8%約17か月約49か月深い下落と長い回復
ITバブル崩壊型−49.2%約31か月約56か月緩やかな下落と長い回復

比較の基準は、すべてS&P500の価格指数に統一しています。ITバブル崩壊だけNASDAQの下落率を使うと、違う指数を比べることになるためです。高値から安値までの下落率と期間は、MFS「Market Declines: A History of Recoveries」のS&P500価格指数データを参考にしています。

回復期間は、底値から同じ価格指数が暴落前の高値へ戻るまでのおおよその月数です。S&P500価格指数には配当が含まれません。指数の推移は、FRED「S&P 500」で確認できます。

シミュレーターでは、実際の日々の上下を再現せず、設定した期間をかけて最大下落率まで段階的に下がり、底から暴落前の高値へ段階的に戻る形へ単純化しています。暴落前の水準へ戻ったあとは、選択した通常時の想定利回りへ切り替わります。

120万円を5年間運用すると、順番だけで結果が変わる

初期設定と同じく、120万円を一括投資または12か月に分け、通常時の想定利回りを年5%、比較期間を5年とします。

暴落なし 一括投資が約3.4万円上回る

一括は約153.2万円、12か月分割は約149.8万円。早く投資した一括の運用期間が長いためです。

6か月目にコロナショック型 分割投資が約15.5万円上回る

一括は約149.5万円、12か月分割は約164.9万円。急落時に約60万円の待機資金が残り、回復期間中に安い価格でも投資できるためです。

※上記は、このページの簡易モデルによる計算例です。手数料・税金・為替・配当・実際の価格変動は含みません。

同じ120万円でも、「先に上がるか、先に下がるか」で有利な方法は変わります。問題は、投資前にその順番を正確に知ることができない点です。

結果は「勝った方」だけでなく、下落時に続けられるかで見る

シミュレーションで一括投資が上回ったとしても、投資直後の大きな含み損に耐えられず売却してしまえば、計算どおりにはなりません。逆に、分割投資の安心感を重視しすぎて何年も現金のまま動けなければ、投資期間を短くすることになります。

一括投資を考えやすい人 長期で持ち続けられる

生活防衛資金を別に確保し、開始直後の下落でも計画を変えない人。

分割投資を考えやすい人 直後の損失が強く不安

期待値の差よりも、後悔を減らして予定どおり投資を続けることを優先したい人。

中間の方法 一部を今、残りを分割

全額一括も長期分割も不安なら、投資方法を二つに分ける考え方もあります。

数学上の期待値だけでなく、実際に自分が続けられるかまで含めて選ぶことが、長期投資では大切です。

新NISAで使うときは、年間投資枠も確認する

このシミュレーターは投資方法の比較に特化しているため、新NISAの枠を超える金額でも計算できます。

新NISAでは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円で、併用すると年間360万円まで投資できます。非課税保有限度額は合計1,800万円です。

たとえば500万円を「一括投資」と入力しても、新NISAだけで同じ年に全額を買えるとは限りません。実際に投資するときは、利用する投資枠、対象商品、すでに使った年間枠を確認してください。制度の最新情報は、金融庁「NISAを知る」で確認できます。

投資に回す前に、生活防衛資金を分けておく

「投資に回せる総額」へ入力するのは、預貯金の全額ではありません。近いうちに使うお金と、収入が減ったときに生活を守るお金を除いた、長期で保有できる資金です。

生活に必要な現金まで一括投資すると、相場が下がっているときに急な出費が重なり、売却せざるを得なくなる可能性があります。分割投資の場合も、待機資金を生活費と混ぜないように分けて管理した方が計画を守りやすくなります。

投資方法が決まったら、次にやること

一括か分割かを決めたあとは、実際の積立設定へ落とし込みます。分割する場合は、「相場が高そうだから今月は見送る」と毎回判断するより、投資日と金額を先に決めて自動化する方が続けやすくなります。

  1. 生活防衛資金と投資資金を分ける
  2. 一括または分割期間を決める
  3. 長く保有できる商品を選ぶ
  4. 証券口座で買付・積立設定をする
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一括・分割比較シミュレーターのよくある質問

毎月の給料から積み立てる場合も、一括投資と比べられますか?

このシミュレーターは、最初から手元にある同じ金額を一括または分割で投資する比較です。これから給料から積み立てるお金は、開始時点ではまだ持っていないため、一括投資できる資金とは別に考えます。

待機資金の預金利息は含まれていますか?

含まれていません。未投資の現金は利息0%として計算しています。実際に利息が付く預金などで管理する場合は、分割投資側の結果が少し変わります。

暴落シナリオは過去の値動きを完全に再現していますか?

再現していません。S&P500価格指数の高値から安値までの下落率・期間と、安値から以前の高値へ戻るまでの期間を参考に、一定の割合で下落・回復する簡易モデルです。実際の相場は、途中で上昇と下落を繰り返します。

暴落が始まる時期を変えると、なぜ結果が変わりますか?

分割投資では、下落時点で投資済みの金額と現金で残っている金額が変わるためです。分割開始直後の暴落では現金が多く残り、分割完了後の暴落では一括投資と同じように資金の大部分が値下がりします。

結局、一括投資と分割投資のどちらが正解ですか?

将来の値動きを事前に知ることはできないため、万人共通の正解はありません。長期の期待値と投資期間を重視するなら一括投資、開始直後の下落への不安を抑え、決めた期間で投資を完了しやすくするなら分割投資という考え方があります。

手数料・税金・為替・配当は含まれていますか?

含まれていません。日本円で投資信託を購入する場合は、信託報酬、為替変動、分配金、実際の基準価額の動きなどによって結果が変わります。

まとめ|有利な方法より、続けられる入れ方を選ぶ

  • 同じ手元資金を、一括投資と6・12・24・36か月の分割投資で比較できる
  • 分割投資は、投資済み資産と待機資金を合計した総資産で比べる
  • 上昇が続く前提では、投資期間が長い一括投資が有利になりやすい
  • 開始直後の暴落では、待機資金が残る分割投資が下落を和らげる場合がある
  • 下落の深さ・長さ・回復期間によって、分割投資の結果も異なる
  • 過去のシナリオは将来予測ではなく、値動きの順番を考えるための簡易モデル
  • 生活防衛資金を除き、下落時にも計画を変えずに続けられる方法を選ぶ

一括投資と分割投資の差は、利回りだけでなく、いつ上がり、いつ下がるかによって変わります。シミュレーターで複数の条件を試し、最も金額が大きくなる方法だけでなく、下落しても持ち続けられそうな方法を考えてみてください。

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