金利上昇で株価はなぜ下がる?初心者向けに仕組みを解説
ニュースで「金利上昇を受けて株価が下落」と聞いても、金利と株価がなぜ関係するのか分かりにくいですよね。
私も投資を始めたころは、「企業の売上が変わっていないのに、金利のニュースだけでなぜ株価が下がるの?」と感じていました。
金利上昇が株価の重しになりやすい理由は、主に企業の借入負担・将来利益の現在価値・預金や債券との比較・景気への影響の4つです。この記事では、長期投資を始めたばかりの方にも分かるように順番に整理します。
先に結論
金利が上がると、企業や家計がお金を借りる負担が増え、将来の企業利益を現在の価値に直した金額も低く評価されやすくなります。さらに、預金や債券の利回りが上がると、株式に求められるリターンも高くなります。
ただし、金利が上がればすべての株が必ず下がるわけではありません。業績、景気、市場の予想、業種によって反応は変わります。
この記事でわかること
- 政策金利と株価がつながる仕組み
- グロース株が金利上昇に弱いといわれる理由
- 銀行株・債券・REITなどへの影響の違い
- 金利上昇局面で長期投資家が確認したいこと
金利が上がると株価が下がりやすい4つの理由
まず全体像を一列にすると、次のようになります。
政策金利を上げる
貸出金利が上がる
資産評価へ影響
なりやすい
日本銀行も、金利が上昇すると金融機関の資金調達コストが上がり、企業や個人への貸出金利も引き上げられやすくなると説明しています。つまり、政策金利の変化は銀行の中だけで終わらず、企業活動や家計を通じて景気全体へ伝わっていきます。
理由1:企業がお金を借りる負担が増える
企業は、工場の建設、店舗の出店、研究開発、在庫の仕入れなどに必要なお金を、銀行融資や社債で調達することがあります。
金利が上がると、同じ金額を借りても支払う利息が増えます。利息負担が増えれば、その分だけ利益を圧迫しやすくなります。また、採算が合わなくなった設備投資や新規事業が延期され、将来の成長期待が弱まることもあります。
影響を受けやすい企業の例
借入金が多い企業、資金調達をしながら成長する企業、不動産や大型設備を多く使う企業などは、金利上昇の影響を受けやすい傾向があります。ただし、固定金利か変動金利か、手元資金がどれくらいあるかでも影響は変わります。
理由2:将来の利益が低く評価されやすくなる
株価は、今の利益だけではなく「その会社が将来どれくらい利益を生みそうか」という期待も含んで決まります。
ただし、5年後や10年後にもらえるお金は、今すぐ受け取れる同額のお金と同じ価値ではありません。将来のお金を現在の価値へ直すときに使う考え方が割引率です。市場金利が上がると、この割引率も上がりやすくなり、遠い将来の利益ほど現在価値が小さく計算されます。
単純化した例:5年後の100万円を現在価値に直す
計算式は「100万円 ÷(1+割引率)5」です。
※株価をこの計算だけで決めるものではありません。金利と将来利益の現在価値の関係を理解するための簡易例です。
このため、現在の利益よりも将来の大きな成長を期待されているグロース株は、金利上昇時に評価が下がりやすいといわれます。イングランド銀行も、資産価格は将来キャッシュフローの現在価値と関係し、中央銀行の金利が投資家の割引率へ影響すると説明しています。
理由3:預金や債券の魅力が相対的に上がる
金利が低いときは、預金や安全性の高い債券から得られる利息も小さくなりやすいため、より高いリターンを求めて株式へ資金が向かいやすくなります。
反対に金利が上がり、預金や新しく発行される債券でも利回りを得やすくなると、値動きの大きい株式を保有するために、投資家は以前より高い期待リターンを求めるようになります。その結果、株価が同じ利益水準のままでは割高と判断され、価格調整が起きることがあります。
なお、金利上昇時にはすでに発行されている固定金利債券の価格は下がりやすい点にも注意が必要です。新しい債券の利回りが上がると、低い利率の古い債券は値下げしないと売りにくくなるためです。
理由4:消費や景気が冷えやすくなる
金利上昇は企業だけでなく、住宅ローン、自動車ローン、クレジットなどを通じて家計にも影響します。借入負担が増えると大きな買い物を控える人が増え、企業の売上や景気へ下押し圧力がかかることがあります。
ただし、中央銀行が金利を上げるのは、物価上昇を抑えたり、過熱した景気を落ち着かせたりする目的があるためです。短期的には株価へ逆風でも、物価と景気を安定させるために必要な政策である場合があります。
なぜNASDAQ100やFANG+などのグロース株は影響を受けやすい?
NASDAQ100やFANG+には、現在の利益だけでなく、将来の成長を高く期待されている企業が多く含まれます。金利上昇時には遠い将来の利益の現在価値が下がりやすいため、株価評価への影響も大きくなりやすいのです。
さらに、成長のために資金調達を続ける企業は、借入や社債発行のコスト上昇も負担になります。高いPERなど、もともと強い成長期待を織り込んでいる銘柄ほど、期待が少し下がっただけでも株価が大きく動くことがあります。
FANG+の集中度や値動きについては、FANG+は初心者におすすめ?魅力はあるけどメイン投資にしにくい理由でも詳しく整理しています。
金利上昇の影響は投資先によって違う
「利上げだから全部売られる」と考えるのではなく、どの経路から影響を受けるかを見ることが大切です。
| 投資先・業種 | 金利上昇時に考えられる影響 | 初心者が確認したい点 |
|---|---|---|
| グロース株 | 将来利益の現在価値が下がり、割高感を意識されやすい | 期待だけでなく、利益・財務・価格水準も見る |
| 借入の多い企業・REIT | 借入費用の増加が利益や分配余力を圧迫しやすい | 有利子負債、固定・変動金利、借換時期を確認 |
| 銀行・保険 | 利ざや改善が追い風になる場合がある一方、貸倒れや保有債券の評価には注意 | 金利上昇=必ず上昇とは考えない |
| 生活必需品など | 景気の影響を比較的受けにくい場合がある | 業種名だけでなく個別企業の業績を見る |
| 債券 | 既発の固定金利債券は価格が下がりやすい。新規債券の利回りは上がりやすい | 満期までの長さと金利変動への感応度を確認 |
※上表は一般的な傾向です。実際の値動きは、業績、財務、景気、市場予想、金利上昇の速さなどによって変わります。
金利が上がっても株価が下がらないことはある
あります。金利上昇は株価の重しになりやすい材料ですが、それだけで株価の方向が決まるわけではありません。
- すでに市場が利上げを予想していた:発表時には株価へ織り込み済みの場合があります。
- 企業業績が予想以上に強い:金利の逆風より利益成長が勝つことがあります。
- 利上げの理由が景気の強さ:売上拡大への期待が株価を支える場合があります。
- 業種ごとの違い:銀行など、金利上昇が一部の収益へプラスになる業種もあります。
- 利上げ終了への期待:現在の利上げより、次に利下げへ向かう時期が注目されることもあります。
つまり、ニュースの「利上げ=株安」という一行だけで売買を決めるのは危険です。市場は、現在の金利だけでなく、その先の景気・物価・企業利益まで先回りして動きます。
RPGでは「金利上昇ドラゴン」として登場
ハリベー投資ファンドRPGでは、金利に敏感なNASDAQ100・FANG+・レバナスなどへ追加ダメージを与えるモンスターとして表現しています。
現実の市場でも「どの商品が絶対に勝つか」ではなく、自分の配分がどんなリスクに弱いかを知ることが大切です。
金利上昇局面で長期投資家が確認したい4つのこと
金利を正確に予想して売買するより、金利が上がっても続けられる投資計画を作っておく方が、初心者の長期投資には再現しやすいと考えています。
現金と株式の配分を整理したい方は、株と現金の比率はどう決める?生活防衛資金の考え方も参考になります。
LCM管理人の考え
私はオルカンとS&P500を長期の中心として積み立てています。金利のニュースは確認しますが、利上げ予想が出るたびに積立を止めたり、すべて売却したりはしません。
金利上昇で下がる可能性も含めて、生活に必要な現金を残し、下落しても続けられる配分と金額にしておくことを優先しています。予想を当て続けることより、計画を壊さず市場に居続けることの方が、長期投資では重要だと考えています。
金利上昇が不安なときに避けたい行動
- 「利上げ」の見出しだけを見て、投資資産を全部売る
- 下落を取り返そうとして、金利に強そうな業種へ一括で乗り換える
- NASDAQ100やFANG+の値動きを理解せず、下がったからという理由だけで買い増す
- 生活防衛資金まで追加投資へ回す
- 毎日の金利予想に合わせて積立設定を何度も変更する
相場が下がったときに資産がどれくらい減るかを先に確認したい方は、S&P500は暴落したらどれくらい下がる?もあわせて読んでみてください。
よくある質問
Q.利上げが発表されたら、株はすぐ売った方がいいですか?
長期投資を前提にしているなら、発表だけで売却を決める必要はありません。すでに株価へ織り込まれている場合もあり、その後の値動きは企業業績や景気見通しでも変わります。まず投資目的、運用期間、生活防衛資金を確認しましょう。
Q.利下げなら株価は必ず上がりますか?
必ずではありません。利下げは株価を支えやすい一方、深刻な景気悪化への対応として行われる場合は、企業利益への不安が強く株価が下がることもあります。
Q.NASDAQ100やFANG+は持たない方がいいですか?
一律に避ける必要はありません。ただし、金利上昇時に値動きが大きくなりやすいことや、銘柄・業種の集中度を理解し、資産全体の中で持ち続けられる割合にすることが大切です。
Q.金利上昇時は積立を止めた方がいいですか?
家計に問題がなく、長期の計画として始めた積立なら、金利予想だけを理由に止める必要はありません。ただし、生活費が苦しい、近く使うお金まで投資している場合は、相場に関係なく積立額の見直しを優先してください。
まとめ|金利は株価を動かす一因。長期投資では続けられる配分を優先する
金利上昇が株価の重しになりやすい主な理由は、次の4つです。
- 企業の借入コストが増え、利益や設備投資を圧迫しやすい
- 将来利益の現在価値が下がり、グロース株の評価に影響しやすい
- 預金や債券の魅力が上がり、株式に求められるリターンが高くなる
- 家計や企業の支出が抑えられ、景気が冷えやすくなる
ただし、株価は金利だけで決まりません。企業業績、景気、市場予想、投資家心理など多くの要因が重なって動きます。
初心者の長期投資では、次の利上げや利下げを当てることより、下落しても売らずに済む現金を残し、自分が理解できる投資先を、無理のない金額で積み立てることが大切です。
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参考にした公的情報
- 日本銀行|金融政策は景気や物価にどのように影響を及ぼすのですか?
- Bank of England|How monetary policy transmits
- Federal Reserve|The Fed Explained: Monetary Policy
- Investor.gov|When Interest Rates Go Up, Prices of Fixed-Rate Bonds Fall
本記事は、金利と株価の一般的な関係を初心者向けに整理したものであり、特定の金融商品・銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。市場環境や個別企業の状況によって実際の値動きは異なります。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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