原油高で株価はどうなる?上がりやすい業種・下がりやすい業種を初心者向けに解説
ニュースで「原油価格の上昇が株価の重しになった」「原油高を受けてエネルギー株が上昇した」と聞くことがあります。
でも、投資を始めたばかりだと、「原油が高くなると、なぜ株価に影響するの?」「原油高なら石油関連株を買えばいい?」と疑問に感じますよね。
原油価格の上昇は、すべての企業に同じ影響を与えるわけではありません。石油・天然ガスを生産する企業には追い風になることがある一方、燃料や石油由来の原材料を多く使う企業にはコスト増となります。
この記事では、「原油高 → 企業コスト・売上 → 利益 → 株価」という流れを軸に、上がりやすい業種・下がりやすい業種と、長期投資家がどう考えればよいかを初心者向けに整理します。
原油高では「原油を売る側」と「原油を使う側」、そして「値上げできるか」を見る
石油・天然ガスの開発企業などには追い風になりやすい一方、航空・物流・石油化学などではコスト増になりやすくなります。
ただし「原油高=この業種は必ず上がる・下がる」ではありません。為替、価格転嫁、ヘッジ、景気、すでに株価へ織り込まれているかなどでも結果は変わります。
- 原油価格が上がると株価はどうなる?
- なぜ原油高は日本経済に影響しやすい?
- 原油高で上がりやすい業種
- 原油高で下がりやすい業種
- 原油高で追い風・逆風になりやすい業種まとめ
- 原油高+円安になると日本の負担はさらに大きくなる
- 原油高はインフレ・金利にもつながる
- 原油高になったらオルカンやS&P500は売った方がいい?
- 「原油高だからエネルギー株を買う」はおすすめ?
- 原油高で長期投資家が確認したい5つのこと
- ゲームでは「原油ゴーレム」として体験
- LCM管理人の考え|原油価格を見て投資先を乗り換えない
- これから投資を始めるなら「原油予想」より先に口座と商品を整える
- よくある質問
- まとめ|原油高では「次に上がる株」より企業利益への経路を見る
- あわせて読みたい関連記事
- 参考資料
原油価格が上がると株価はどうなる?
まず押さえておきたいのは、原油価格が上がったからといって、株価が一律に下がるわけではないということです。
原油はガソリンや軽油だけでなく、物流、航空、発電、化学製品、プラスチック、工場の生産など、経済活動の幅広い場所で使われています。
IMFは2026年4月、エネルギー価格の上昇は輸送、工業、石油化学、肥料などの生産コストを押し上げ、企業利益を圧迫する経路があると説明しています。
一方で、原油そのものを生産・販売する企業なら、原油価格の上昇が売上や利益の押し上げにつながる場合があります。
↑ 原油高が追い風になりやすい
- 石油・天然ガス開発
- 資源権益を持つ企業
- 一部の総合商社
- 一部のエネルギー関連企業
↓ 原油高が逆風になりやすい
- 航空
- 運輸・物流
- 石油化学
- エネルギー使用量の多い製造業
- 価格転嫁しにくい企業
つまり重要なのは、「原油高だから株価が下がる」と覚えるのではなく、その企業が原油を売る側なのか、使う側なのかを考えることです。
なぜ原油高は日本経済に影響しやすい?
日本で原油高を考えるときに重要なのが、エネルギー資源を海外から輸入していることです。
日本銀行の植田総裁は2026年6月、日本は原油の9割以上を中東産に依存しており、原油などの輸入価格上昇は海外への所得流出を増やし、企業収益や家計の実質所得を圧迫すると説明しています。
日本で原油高の負担が広がるイメージ
しかも影響は石油を直接使う企業だけではありません。ガソリン代や電気代、物流費が上がれば、小売、食品、製造業などにも間接的に波及します。
日本銀行も、原油は多くの産業で上流から下流まで原材料として使われるため、原油高はエネルギー価格だけでなく幅広い財の価格を押し上げるとしています。
原油高で上がりやすい業種
ここからは、原油価格上昇が比較的追い風になりやすい業種を見ていきます。
① 石油・天然ガスの開発企業
もっとも分かりやすいのが、原油や天然ガスを開発・生産する企業です。
同じ量の原油を生産していても、販売価格が高くなれば売上が増えやすくなります。生産コストや契約条件などにも左右されますが、一般に原油価格上昇は資源開発企業の収益にはプラス方向へ働きやすくなります。
反対に、原油価格が下落すれば販売価格の低下につながるため、資源価格の変動を受けやすい業種でもあります。
② 資源権益を持つ企業・一部の総合商社
石油・天然ガスなどの資源権益を持つ企業も、資源価格上昇が収益の追い風になる場合があります。
ただし、総合商社は資源だけを扱う会社ではありません。食品、機械、金融、生活産業など幅広い事業を持っているため、「商社=原油株」ではない点には注意が必要です。
見るべきなのは、「原油が上がった」というニュースではなく、その会社の利益のうち資源事業がどれくらいを占めているのかです。
③ 一部のエネルギー関連企業
石油サービス、掘削設備、資源輸送など、原油・天然ガスの生産活動に関連する企業も、資源開発投資が増える局面では恩恵を受けることがあります。
ただし、契約価格や設備投資のタイミングによって、原油価格上昇が業績へ反映されるまで時間差が生じる場合があります。
原油高で下がりやすい業種
逆に原油高が負担になりやすい企業を見るときは、「燃料・原材料をどれくらい使うか」と「値上げできるか」の2点が重要です。
① 航空
航空会社にとって航空燃料は大きなコストの一つです。原油価格の上昇に伴ってジェット燃料価格が上がれば、燃料費の負担が増えやすくなります。
ただし、航空会社には燃油サーチャージ、燃料価格のヘッジ、運賃改定など、影響を和らげる手段もあります。
そのため、「原油高=航空株は必ず下落」ではなく、コスト増をどこまで吸収・転嫁できるかを見る必要があります。
② 運輸・物流
トラック、船舶、配送などは燃料を多く使います。軽油や重油などの価格が上がれば輸送コストも増加します。
さらに物流費の上昇は、商品を運ぶメーカーや小売企業にも波及します。
物流を通じた二次的な影響
③ 石油化学・プラスチック関連
「原油=ガソリン」のイメージが強いですが、原油は多くの化学製品の出発点でもあります。
経済産業省は、ナフサについて原油を精製して作られる石油製品の一種と説明しています。ナフサはエチレンやプロピレンなどの基礎化学品を経て、プラスチック、ゴム、電子部品、塗料など幅広い製品につながります。
原油から身近な製品まで
そのため、原油・ナフサ価格の上昇は、石油化学企業だけでなく川下の製品価格へ波及する可能性があります。
④ 電力・ガス
電力会社は原油だけでなく、LNGや石炭など複数の燃料を利用します。燃料価格が上がれば発電コストの増加要因になります。
一方、日本には燃料費調整の仕組みがあります。資源エネルギー庁によると、原油・LNG・石炭の燃料価格の変動を、一定のルールにより電気料金へ反映する制度です。
そのため、燃料価格上昇=そのまま電力会社の利益減少とは限りません。料金への転嫁範囲、発電構成、契約条件などでも影響は変わります。
⑤ エネルギー使用量の多い製造業
製造業では、工場の電気・ガス、物流、化学原料など、さまざまな形でエネルギーを使います。
そのため原油高は、直接大量の石油を使わないメーカーにもコスト増として波及することがあります。
同じ製造業でも影響は異なるため、売上高に対してエネルギーや原材料コストがどのくらい大きいかを見ると理解しやすくなります。
⑥ 値上げしにくい企業
業種名より重要な場合があるのが、企業の価格転嫁力です。
値上げできない場合
売価:100円
原価:70円 → 80円
利益:30円 → 20円
コスト増を会社が負担するため、利益が圧迫されます。
値上げできる場合
売価:100円 → 110円
原価:70円 → 80円
利益:30円 → 30円
価格転嫁できれば、利益への影響を抑えられます。
つまり原油高のニュースを見たときは、「どの業種か」だけでなく、「コスト増を販売価格へ移せる会社か」まで見ることが大切です。
原油高で追い風・逆風になりやすい業種まとめ
| 業種・タイプ | 一般的な影響 | 主な理由 | 確認したい点 |
|---|---|---|---|
| 石油・天然ガス開発 | 追い風になりやすい | 販売価格上昇が収益へプラスになりやすい | 生産コスト、販売量、権益、契約条件 |
| 一部の商社 | 追い風になる場合 | 資源権益の利益増加が期待される | 資源事業の利益構成比 |
| 航空 | 逆風になりやすい | 航空燃料コストの上昇 | 燃油サーチャージ、ヘッジ、運賃 |
| 運輸・物流 | 逆風になりやすい | 軽油・重油などの燃料費上昇 | 燃料サーチャージ、価格転嫁 |
| 石油化学 | 逆風になりやすい | ナフサなど原材料価格の上昇 | 製品価格への転嫁、需要 |
| 電力・ガス | 企業ごとの差が大きい | 燃料コスト増。ただし料金へ反映する仕組みもある | 料金制度、燃料構成、契約 |
| 製造業 | 逆風になる場合 | 電力・物流・原材料など複数経路でコスト増 | エネルギー比率、価格転嫁力 |
原油高+円安になると日本の負担はさらに大きくなる
日本の投資家が特に知っておきたいのが、原油価格と為替の組み合わせです。
国際的な原油価格は米ドルで示されることが多いため、日本から見ると、原油価格そのものに加えてドル円も輸入コストへ影響します。
つまり、原油高と円安が同時に進むと、円で見た輸入負担がさらに重くなる可能性があります。
原油高はインフレ・金利にもつながる
原油高の影響は、企業の燃料費だけで終わりません。
原油高から物価・金利へ波及するイメージ
日本銀行の2026年7月の展望では、原油価格の上昇に加え、円安なども消費者物価を押し上げる要因として挙げられています。
ただし、ここから先の「なぜ金利上昇が株価の重しになりやすいのか」は別テーマです。この記事では重複を避け、原油高から物価までのつながりを押さえるだけにします。
原油高になったらオルカンやS&P500は売った方がいい?
長期投資をしている人が一番気になるのはここかもしれません。
結論として、原油価格が上がったという理由だけで、オルカンやS&P500を売る必要はないと私は考えています。
どちらの指数・商品にも、原油高が追い風になる企業と逆風になる企業が含まれています。また株価には、原油だけでなく景気、金利、為替、企業業績、金融政策、投資家心理など多くの要因が同時に影響します。
たとえばオルカンは、世界中のさまざまな国・業種へ広く投資します。特定の1業種だけを持つのとは性格が異なります。
「原油高だからエネルギー株を買う」はおすすめ?
原油価格が急上昇すると、「石油会社が儲かりそうだから、今からエネルギー株を買えばいいのでは?」と思うかもしれません。
ただし、初心者の長期投資では、ニュースを見てから資産配分を大きく変更することには注意が必要です。
株価は現在の原油価格だけではなく、これからの原油価格や企業利益の予想も織り込んで動きます。ニュースで「原油急騰」と大きく報じられた時点では、関連株がすでに上昇している可能性があります。
さらに原油価格は、供給回復、産油国の増産、景気悪化による需要減、在庫、地政学情勢などで大きく動きます。
IMFも2026年のエネルギーショックについて、原油高の影響はエネルギー輸入国と輸出国で非対称であり、需要の減少や供給増、在庫取り崩しなどが価格への影響を変えると説明しています。
「次に上がる業種」を当て続けるより、最初に決めた資産配分を続けられる状態を作る
ニュースは売買の合図ではなく、「なぜ自分の資産が動いているのか」を理解する材料として使う方が、初心者には再現しやすいと考えています。
原油高で長期投資家が確認したい5つのこと
原油高はガソリン、電気、物流、食品などを通じて生活費にも影響します。相場だけでなく、家計が苦しくなっても積立を続けられる現金を残しておきます。
原油高を見てエネルギー株へ一気に寄せるより、資産全体の分散を確認します。
原油価格の高値・安値を事前に当て続けることは難しいため、家計に無理がなければ長期計画を優先します。
日本企業の輸入コストでは円安が負担になりやすい一方、外貨建て資産の円換算評価額では円安がプラス方向に働く場合があります。
原油高、金利上昇、景気後退などは長期投資の途中で何度も起こり得ます。相場を当てるより、途中で売らなくて済む配分を優先します。
ゲームでは「原油ゴーレム」として体験
ハリベー投資ファンドRPGでは、原油価格上昇を「原油ゴーレム」というモンスターとして表現しています。
記事で仕組みを理解したあと、ゲームで「原油高・インフレ・資産配分」の関係を体験すると、ニュースの意味をイメージしやすくなります。
ハリベー投資ファンドRPGを遊ぶ →※投資学習用に簡略化したゲームです。特定の商品や投資行動を推奨するものではありません。
LCM管理人の考え|原油価格を見て投資先を乗り換えない
ニュースは「売買の答え」ではなく「値動きを理解する材料」にする
原油価格が大きく動くと、「エネルギー株が上昇」「航空株には逆風」「インフレ再燃懸念」など、さまざまなニュースが流れます。
こうしたニュースを理解するために、原油価格と企業利益の関係を知っておくことには意味があります。
ただし私は、ニュースのたびに投資先を乗り換えるのではなく、自分が保有している資産に何が起きているのかを理解するために学ぶことを大切にしています。
短期的な原油価格を当て続けるより、分散、生活防衛資金、無理のない積立額を整え、長く市場に居続けられる状態を優先します。
これから投資を始めるなら「原油予想」より先に口座と商品を整える
原油高や金利上昇のニュースを見ると、「今は投資を始めない方がいいのでは?」と感じるかもしれません。
ただ、10年・20年の資産形成では、短期の原油価格を当てることより、自分に合った金融機関を選び、低コストの商品を無理のない金額で積み立てられる環境を作ることの方が重要です。
まずは「買いたい商品を長く積み立てやすい口座か」を確認
ネット証券を検討する場合も、原油関連株を買うためではなく、自分が選んだ投資信託や株式を長期で管理しやすいかを基準に比較しましょう。
マネックス証券の口座開設で必要なものや流れは、先にこちらで確認できます。
マネックス証券の口座開設は難しい?必要なもの・流れ・注意点を初心者向けに解説 →
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よくある質問
必ず下がるわけではありません。燃料・原材料コストが増える企業には逆風になりやすい一方、石油・天然ガスを生産する企業には追い風になる場合があります。市場全体は景気、金利、為替、企業業績など多くの要因で動きます。
一般的には石油・天然ガス開発企業や資源権益を持つ企業などが恩恵を受ける場合があります。ただし、原油高がすでに株価へ織り込まれている場合もあり、必ず上昇するわけではありません。
航空、運輸・物流、石油化学、エネルギー使用量の多い製造業などはコスト上昇の影響を受けやすい傾向があります。ただし価格転嫁やヘッジによって影響を抑えられる企業もあります。
原油価格だけを理由に資産配分を変更する必要はありません。株価は将来の原油価格や業績予想を先回りして動くため、ニュースを見てから追いかけると高値で買う可能性もあります。長期投資では分散と継続を優先する方がシンプルです。
原油価格上昇だけを理由に売却する必要はありません。どちらも多くの企業を含んでおり、原油高が追い風になる企業と逆風になる企業が混在しています。まず投資目的、運用期間、生活防衛資金、資産配分を確認しましょう。
まとめ|原油高では「次に上がる株」より企業利益への経路を見る
原油価格が上昇したときは、「株価が上がるか・下がるか」だけでなく、原油高が企業利益へどう伝わるのかを見ると理解しやすくなります。
- 石油・天然ガス開発企業には追い風になりやすい
- 航空・物流・石油化学などにはコスト増になりやすい
- 業種名だけでなく「価格転嫁できるか」が重要
- 日本では原油高+円安で輸入負担が大きくなりやすい
- 原油高は物価を通じて金利や景気へ波及することがある
- 長期投資では原油ニュースだけで資産配分を大きく変えない
ニュースは売買の合図ではなく、「今なぜ市場が動いているのか」を理解する材料として使う。これが、初心者が長期投資を続けるうえで大切な考え方だと思います。
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